異端児として里から抹殺される予定だった私を助けてくれたのがイタチと鬼鮫だった。
そして、能力を買われ 『暁』 という組織に属している。
今日は珍しく、イタチとツーマンセルを組んで尾獣の情報収集。
しかし、彼はアジトを出てから一言も喋らない。
喋らないとは語弊かな。返事は返ってくるの。ああ、とか。そうだな。程度の相槌で。
口煩い鬼鮫や、うんうん言ってるデイダラよりはマシだけど。
目的地近辺の道脇に、控えめに営業をしている茶屋を発見した私は、彼に許可を取り休憩という名の間食目的で入店した。
綺麗な女性が声を弾ませながら注文を聞いてくる。
頬を桃色に染めながらイタチを眺める気分は分からないでもない。
私も助けてもらった時、その綺麗な顔立ちにときめいてしまった。今はもう慣れたけどね。
「私は抹茶パフェで。」
ここ最近、甘い物を摂取していなので 【ぱふぇ】 の文字だけで口に広がる唾液を抑えながら注文する。
にっこりと営業スマイルで返事をする看板娘。
「…… みたらし団子一皿。」
思わず言った本人を二度見してしまった。
注文を繰り返す看板娘の言葉に聞き違いではなかったと驚愕の余り席を立つ。
「、どうした。」
店内で注目されている自分に恥ずかしくなり、咳払いをしながら何でもないと座りなおす。
意外だ。彼が甘い物を好むなんて超意外。それは偏見でしたねすいません。
運ばれてきたそれぞれの食べ物。
スプーンでクリームをすくいながら、向かいに座るイタチの手元を凝視。
黒い爪が映える意外と骨太な指と、串に刺さった蜜たっぷりの団子。
その団子が彼の口元に運ばれる。スローモーションを見ているかのようにゆっくりと。
薄い唇が僅かに開き、一番上の団子がそこに入っていく。何故か喉が鳴る私。
もきゅもきゅという音が幻聴となって私の耳に届いた。
本当に団子が好きなんだ。
と、いう以前に彼の一挙手一投足を注目していた自分。
すくったクリームが机に落ちたところで我に返り、慌ててパフェを食べ始める。
既にアイスが溶けかけて下に垂れ落ちていた。勿体無いわ。
小さい茶屋ながらも、抹茶の味が濃厚で顔が綻ぶ。
「ん〜、私好みの味!」
至福の時ね。
むふふと引かれるぐらいの笑みを浮かべていたのに、突如、ふっと彼の口元が緩んだ。
今まで見た事のない柔らかい表情に、口の中の抹茶の甘さが脳にまで巡ってしまい軽く眩暈が起きた。
甘くほろ苦い抹茶のような──
「食べたいのか?」
固まっている私を見て、団子を食べたいと勘違いしたのか差し出してくるイタチ。
ぶんぶんと顔を左右に振って拒否する。それ、食べかけだし!
そうか? と、団子を引っ込める彼。若干残念そうな表情に見えるのは私の勘違いですよね。
残りの団子も食べ終えた頃には、私もパフェを食べ終え口元を拭く。
ご馳走様でしたと両手を合わせながら、ちらりと彼を見ると口元に蜜が付いている。
完璧な人だと思っていただけに、彼が凄く可愛く見えてきた。
「あ、どうぞ。」
口元を拭いて下さいと手拭を取り出すが、手に渡る前に彼は赤い舌でそれを舐め取った。
その瞬間、私の心臓は彼に食べられた団子のように、もきゅっと音を立てた。
普段、見慣れない彼の表情や仕草に乱れきった鼓動を押さえ込みながら、渡せなかった手拭で朱に染まる顔を隠し店を出る。
街道を駆ける心地よい風に落ち着きを取り戻し、笠をかぶりイタチより少し先を歩き始める。
「。」
名前を呼ばれれば条件反射で立ち止まり振り返る。
「また、二人で来よう。」
コトンと心の中で音がした
2012.06.09 こんな微妙で意味不明な話ですいません!! アワワ 丹子様、これからも宜しくお願いします!